共同代表のご挨拶

  以下は、2023年9月10日開催の「バイバイノースドック集会」における福田護共同代表のご挨拶を文字起こししたものです。

皆さん、こんにちは。お暑い中、ありがとうございます。ご紹介をいただきました県民署名実行委員会共同代表の弁護士福田と申します。県民署名の呼びかけ人としても名前を連ねております。今、横浜ノースドックという米軍基地が、大きく変わろうとしています。
 今年の1月11日、日米安全保障協議委員会、ツー・プラス・ツーの共同発表で、突然、ノースドックへの揚陸艇部隊の配備ということが発表されました。地元の横浜市や神奈川県には、事前に何の通知もありませんでした。
 このノースドックへの揚陸艇部隊の配備というのは、何を意味するのか? これは、端的に結論からいえば、台湾有事を見据えて、南西地域、南西諸島に物資や部隊を送り込む拠点づくり、横浜港を台湾有事の戦争の拠点にしようとするものだといわざるを得ないと思います。
 この重大な問題に対して、私たちは、横浜ノースドックへの揚陸艇部隊配備反対県民署名の取組を、去る6月29日の記者会見をスタートとして提起してまいりました。呼びかけ人は、山根徹也横浜市立大学教授その他7人の学者の方とわれわれ弁護士5人ですが、各界から多くの賛同人の賛同をいただき、運動の広がりを図ってまいりました。すでに先行する署名運動もありましたが、さらに一回り大きな運動として取り組み、署名目標として10万筆、9月末の集約を目指して、現在署名運動を展開しております。神奈川県在住、そして在勤・在学の皆さん方にお声を掛けておりますが、集めた署名は、港湾管理者である横浜市長にこれを報告し、要請する、併せて神奈川県知事にも報告をして協力を求めることとしております。

 昨年12月、安保3文書が策定されました。この安保3文書というのは、まさに、敵基地攻撃能力の保有をメインとする戦争準備マニュアル、こう言わざるを得ない。そこでは、5年後の2027年度までに我が国への侵攻が生起する、この場合を想定して、最悪の事態も見据えて防衛力を抜本的に強化する、こういうことが唱われております。そしてそこで想定されているのが、南西地域の戦場化、南西諸島が戦場となる最悪の事態を想定し、そこに抜本的に強化された防衛力として敵基地攻撃能力を配備する、こういうものであります。
 そして、これに続いて打ち出されたのが、先ほど申し上げた日米安全保障協議委員会、ツー・プラス・ツーの共同発表でした。この共同発表では、一つは、沖縄の海兵隊を「海兵沿岸連隊」に再編する、これはまさに、沖縄をベースにして戦う戦闘部隊であります。そしてこれに対して、政府の説明にもあるとおり、南西地域に人員・物資を送り込むのが揚陸艇部隊、これが横浜ノースドックに配備をされる、こういうことであります。
 政府の説明を追ってみます。「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」―これは安保3文書の言葉どおりであります。そして、「南西諸島を含む所要の場所に迅速に部隊・物資を展開可能とする」、こう明言しています。そして、「揚陸艇は、港湾がない場所や港湾が破壊された場所でも接岸可能である」、だから揚陸艇が必要なんだ、こういうことなのです。したがって、先ほど申し上げたように、沖縄で戦闘をする部隊、これに横浜ノースドックを出発点として人員・物資を運び込む、そして南西有事に備える、こういうことが流れとして明確になってきているわけであります。

 そしてこの部隊は、今年から来年にかけて280名、海外から集められ、家族帯同で神奈川県内に居住をする、こういう計画になっています。横浜ノースドックというのは、これまでは、物資の陸揚げだとか備蓄だとか保管のための基地として使われてきました。だから、地味で皆さん方知らない方も大勢いらっしゃる。だけど今や、この横浜ノースドックというのが、にわかに慌ただしくなってきております。この間、ノースドックには、オスプレイをはじめとしてヘリコプターが次々と離着陸をし、あるいは横浜港の狭い湾内で揚陸艇が操船訓練をする、こういったことまで展開されている状況にあります。
 そこで、私たちは、なぜ横浜市長に対してこの署名を集め、報告し、要請するのかということですが、横浜市長というのは、ノースドックを含めた横浜港の港湾管理者なのであります。港湾管理者というのは、港湾法に基づいて、一元的に横浜港内の管理をする責任者であります。その権限において、安全や人流・物流を円滑化していく、そのための責任者であります。だから、横浜ノースドックに280名もの部隊が入ってきて揚陸艇を操船する、訓練をする、そういうことになったら、あの狭い横浜港内が危なっかしくてしようがない、そういう事態になるのです。
 ところが今、横浜市あるいは横浜市議会を含めて、はっきりした態度をとっていない。遺憾であるといっているだけ。「遺憾」じゃないんです。絶対にそういう配備をさせてはいけない、配備反対を明言し、そして撤回をさせる。そのための横浜市長への要求を、私たちは突きつけていかなければならない。そういうふうに思って、この県民署名を始めたわけであります。
 今日お集まりの大勢の皆さん方が、ぜひ地元でこの署名運動を展開していただき、大勢の皆さん方の署名を集約して、横浜市長に私たちの要求を、要請を突きつけ、私たちの要求に沿った対応をしていただく、そのことを是非実現していきたいと思います。併せて、全国の渉外知事会の会長であり、神奈川県の基地関係県市連絡協議会の会長でもある神奈川県黒岩知事にも、署名の結果を報告して協力を求めていくことにしたいと思います。
 横浜ノースドックは、今現在、具体的な戦争のための任務を帯びた部隊が配置をされるという、そういう事態を迎えて、横浜市という国際都市のまさに「へそ」の部分、そこにそういう戦争の拠点が設けられるということになるわけでありまして、これを私たちはぜひとも撤回をさせ、阻止をしなければいけないというふうに思います。横浜が戦争の拠点になれば、当然相手からの攻撃の対象にもなります。危険極まりないことであります。
 したがいまして、私たちは市民・県民の総力を挙げ、全力を集めてこの署名運動を成功させていきたいと思いますので、ぜひよろしくご協力のほどお願い致します。どうもありがとうございました。

横浜ノースドック揚陸艇部隊配備反対・県民署名実行委員会

共同代表 福田 護(弁護士)